耳介軟骨を採取すると、耳の形や機能に変化は出ますか?
# 耳介軟骨を採取すると、耳の形や機能に変化は出ますか?
核心回答
鼻の形成に用いる耳介軟骨は、耳の輪郭をつくる縁ではなく、中央のくぼみ(耳甲介)から採取し、耳の形を支える構造を残すように計画します。そのため、耳の形が目立って変わることは多くありません。ただし、腫れ・内出血・皮膚の感覚の低下は比較的よくみられ、まれに血腫・感染・瘢痕・輪郭の変化が生じることもあります。採取量が多いほど変化の可能性も高まるため、必要な移植片の種類と量を先に決めたうえで採取の可否を判断します(個人差があります)。

鼻の形成では、耳のどの部分から軟骨を採取しますか?
耳(耳介)は、薄い皮膚の下にひとつながりの軟骨があり、その凹凸が耳の形を保っています。鼻の形成で主に用いるのは、耳の中央にある耳甲介の軟骨です。自然に湾曲した形状のため、鼻先の形を整える移植片、鼻翼の支え、少量の充填材など、カーブと柔軟性が求められる用途に向いています。
一方、耳の外側の縁(耳輪)とその内側の隆起(対耳輪)は、耳の形を決める骨格の役割を担うため、できる限り温存します。採取範囲は必要な分に限り、外耳道の入口まわりの構造には過度に手を加えないよう計画するのが一般的です。アプローチとしては、耳の後ろのしわに沿って切開する方法がよく用いられ、この場合、切開線は正面からは見えにくい位置に収まります。ただし、必要な部位や耳の構造によってアプローチは異なることがあります。

採取後、耳にはどのような変化が起こりえますか?
採取後の変化は、「よくみられるもの」と「まれなもの」に分けて理解すると分かりやすくなります。
| 区分 | 変化 | 一般的な経過(個人差あり) |
|---|---|---|
| よくある変化 | 腫れ、内出血、圧迫感、痛み | 通常1〜2週間ほどで軽減します |
| よくある変化 | 耳とその周囲の皮膚の感覚低下、こもった感じ | 数週間〜数か月かけて回復し、一部は長く続くことがあります |
| よくある変化 | 耳の後ろの切開線の赤み | 数か月かけて薄くなることが多いです |
| まれな変化 | 血腫(血液がたまる)、感染 | 早期に見つかれば処置が必要になることがあります |
| まれな変化 | 肥厚性瘢痕・ケロイド | 体質の影響が大きく、既往の確認が必要です |
| まれな変化 | 耳の輪郭のわずかな変化、外耳道入口まわりの形の変化 | 採取範囲が広いほど可能性が高まります |
聴力そのものが変わることは一般に多くありませんが、外耳道の入口まわりに過度に手を加えると形の変化が生じうるため、計画の段階で採取範囲を限定します。ここで述べた内容は一般的な説明であり、実際の経過は人によって異なります。
診察室では、耳介軟骨を採取するかどうかをどう判断しますか?
① 診察で確認する項目
耳介軟骨の採取を検討する際は、次の点をあわせて確認します。
- 耳の大きさ、耳甲介の深さと軟骨の厚み、左右差の有無
- 過去の耳の手術・外傷・ピアスの既歴、耳まわりの皮膚炎や感染の有無
- 肥厚性瘢痕やケロイドの体質(過去の手術痕の治り方を含む)
- 眼鏡・イヤホンの使用、普段の寝姿勢など、日常的に耳にかかる圧力
- 鼻側で必要となる移植片の種類と量
② 材料を選ぶ/避ける基準
| 状況 | 耳介軟骨 | 鼻中隔軟骨 | 肋軟骨 |
|---|---|---|---|
| 必要量が少なく、カーブと柔軟性が必要(鼻先の補強など) | 検討可能 | 量が十分なら可能 | 通常は過剰 |
| 長くまっすぐな支えが必要(鼻背・鼻柱の支持) | 硬さ・長さが不足することがある | 可能だが量に限りがある | 検討 |
| 鼻中隔をすでに使用した、または量が不足している修正手術 | 補助的な採取部位として検討 | 限定的 | 必要量が大きければ検討 |
| ケロイド体質が強い、または耳に感染・皮膚の問題がある | 見合わせる、または別の採取部位を検討 | 該当なし | 該当なし |
耳介軟骨は湾曲しているため、長くまっすぐな構造をつくるのは難しく、片耳から得られる量にも限りがあります。大きな支持構造が必要な場合は、耳介軟骨だけで解決しようとせず、ほかの採取部位もあわせて検討します。反対に、少量の湾曲した移植片で足りる場合は、必要以上に負担の大きい採取部位を選ばない方向で判断します。

実際の診療では、判断はどのような流れになりますか?
以下は特定の患者さんの体験談ではなく、判断の過程を理解するための仮定の状況です。修正手術で鼻先の支えが弱く、鼻中隔軟骨はすでに使用されて残りが少ない場合を考えてみます。このとき、必要な移植片が鼻先の形を整える少量の湾曲した構造なのか、長さと硬さが必要な支持構造なのかをまず見分けます。前者であれば、耳の構造と瘢痕の体質を確認したうえで耳甲介軟骨を候補とし、後者であれば耳介軟骨だけでは硬さが不足しうるため、肋軟骨などほかの採取部位もあわせて検討します。このように、採取の可否は「何が必要か」と「その採取部位の負担はどの程度か」を並べて決めます。
まとめ
- 耳介軟骨は主に耳甲介から採取し、耳の輪郭を支える構造は残す計画で行います。
- 腫れ・内出血・感覚低下は比較的よくみられ、血腫・感染・瘢痕・輪郭の変化はまれですが起こりえます。
- 少量で湾曲・柔軟性が必要な移植片には向きますが、長くまっすぐな支持構造には限界があります。
- 耳の構造、瘢痕の体質、必要な移植片の種類と量によって、採取の可否と採取部位は変わるため、対面診察での個別評価が必要です。
よくあるご質問(FAQ)
Q1. 耳介軟骨を採取すると、耳が垂れたり形が変わったりしますか?
A. 耳の輪郭を支える耳輪と対耳輪は温存する計画のため、見た目が目立って変わることは多くありません。ただし、採取範囲が広い場合や軟骨が薄い場合には、わずかな輪郭の変化が生じる可能性があります(個人差あり)。
Q2. 耳の後ろの傷あとは目立ちますか?
A. 耳の後ろのしわに沿って切開すると、正面からは見えにくい位置に収まるのが一般的です。ただし傷の経過は体質によって異なるため、肥厚性瘢痕やケロイドの体質がある場合は事前にお知らせください。
Q3. 耳介軟骨の採取にCTなどの検査は必要ですか?
A. 耳は通常、視診と触診で構造を評価し、画像検査が必須とは限りません。過去の耳の手術や外傷で構造がはっきりしない場合には、追加の評価を検討することがあります。
Q4. 両耳から採取することはできますか?
A. 必要量によっては検討できますが、採取量が増えるほど採取部位の負担も大きくなります。大きな構造が必要な場合は、ほかの採取部位もあわせて検討するのが一般的です。
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根拠・出典
- 大韓形成外科学会 編『形成外科学』教科書(鼻の形成・軟骨移植に関する章)
- Neligan PC (ed.), Plastic Surgery — 鼻形成関連の巻 (Elsevier)
- Gunter JP ほか (eds.), Dallas Rhinoplasty: Nasal Surgery by the Masters (CRC Press)
- Daniel RK, Mastering Rhinoplasty (Springer)
執筆者・監修者・日付
- 執筆者:キム・ジフン 形成外科専門医(VVLY プリ形成外科 院長)
- 作成日:2026-11-04 / 最終更新日:2026-11-04
※ 本コラムは一般的な医学情報の提供を目的としており、個々の患者さんの診断・治療に代わるものではありません。手術・施術の適応、回復の経過、起こりうる合併症には個人差があり、正確な判断には専門医による対面での診察と個別の評価が必要です。